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2019年1月 8日 (火)

「イスラーム聖者廟の財産管理に関する史料学的研究」

AA研共同利用・共同研究課題「イスラーム聖者廟の財産管理に関する史料学的研究:イラン・サファヴィー朝祖廟を事例として」公開研究会のご案内

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題「イスラーム聖者廟の財産管理に関する史料学的研究:イラン・サファヴィー朝祖廟を事例として」は,2018年度の公開研究会を以下の要領で開催します。皆様のご参加をお待ちしており
ます。

◇日時・場所
日時:2019年2月9日(土)13:30―18:00
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所会議室(304)
 交通情報
http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/about/access
※ 事前申込不要
※ 本研究会に関するお問い合わせ先:khargush1969[at]gmail.com

◇プログラム
13:30―14:00 はじめに(趣旨説明)
渡部良子(東京大学)「イスラーム社会史史料としてのサフィー廟寄進地記録の重要性の再検討:
‘Abdi Beg編Sarih al-Milk 2写本(17世紀?18世紀初)に注目して」 14:00―16:30 研究発表 14:00―14:35  後藤裕加子(関西学院大学)「サファヴィー朝前期の文人官僚 アブディー・ベクとその著作」 14:35―15:10  小野浩(京都橘大学)「サファヴィー家に関わる君主勅令」 15:10―15:20 休憩 15:20―15:55  高木小苗(早稲田大学)「14世紀アルダビール地方の一村落の変遷:Sarih al-Milk と関連文書の比較検討を通して」 15:55―16:30  阿部尚史(お茶の水女子大学)「19世紀のSarih al-Milk」 16:30―16:40 休憩(10分) 16:40―17:10 コメント  高松洋一(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所) 17:10―18:00 総合討論 ◇研究会趣旨  イスラーム圏の社会において、聖者廟はしばしば大きな富を蓄積し、社会・文化・経済の中心と
して重要な役割を担った。イスラーム法に基づくワクフ(寄進)により集積された聖者廟の財産は,
政治権力による庇護,地域社会との関係,様々な法・社会制度・慣行の利用など,政治・法・経済
の多様な制度・慣行が絡まり合う中で保全され,聖者廟の活動を支えてきたと考えられる。聖者廟
が築いた財産管理のシステムと戦略に光を当てることは,聖者廟の活動を支えた財政基盤のあり方
を明らかにするのみならず,聖者廟を取り巻く行財政・法・経済制度と,その時代的変遷を知る手
がかりになるだろう。  テュルク・モンゴル系遊牧王朝の覇権の下,タリーカが大きな政治・社会的影響力を持ったイラ
ン高原では,財力と独立的勢力を持つ聖者廟も登場した。特に,現代イランの原型を形成すること
になるシーア派王朝サファヴィー朝(16?18世紀)以降,シーア派イマーム廟,シーア派イマーム
の係累とされる聖者廟(イマームザーデ)が特別な重要性を帯びて発展し,現代社会においても大
きな存在感を放っている。これらイランにおける聖者廟の財政基盤・財産管理システムの研究は,
第8代イマーム・レザー廟,テヘランのイマームザーデ,シャー・アブドゥルアズィーム廟など,
近年大きく進展しつつある。  このようなイラン高原の聖者廟の中でも,とりわけ独自の歴史を持つのが,サファヴィー朝の起
源となったサファヴィー教団名祖シャイフ・サフィー廟(イラン北西部アルダビール州アルダビー
ル,2010年UNESCO世界遺産登録)である。14世紀初の成立以降,政治権力・地域社会との密接な結
びつきを通して多数の寄進地を獲得し,サファヴィー朝下では王朝祖廟としての特殊な地位を享受
し,同朝滅亡後は衰退しつつも近代までその活動を維持したサフィー廟は,中世?近代のイラン高原
の歴史の展開を直接的に反映した聖者廟の歴史を伝える貴重な事例といえる。その寄進地目録とし
てサファヴィー朝期の16,17世紀に編纂された寄進地記録sarih al-milkは,サファヴィー朝成立の
歴史的背景,サファヴィー朝によるサフィー廟庇護政策を伝える重要な史料として,先学により研
究されてきた。しかし,これら寄進地記録がワクフの正当性を示すイスラーム法文書集成というそ
の本来の性格から,どのように編纂され,利用されてきたのか,その機能的特徴と史料的可能性を
総合的に明らかにする試みは,まだ十分行われているとは言えない。サフィー廟に保管されたイラ
ン最古の文書群サフィー廟文書の目録化,レザー廟財務帳簿史料の研究の進化など,シーア派聖者
廟の財産管理に関わる史料の発掘・研究可能性が確実に広がりつつある現在,最も古い聖者廟財産
管理関連史料の1つであるサフィー廟寄進地記録を,中世から近世にかけてイラン高原に形成され
た行財政・法制度・慣行,寄進地管理制度の中に位置づけ再検討することは,重要な意義を持つだ
ろう。  本共同研究(2018-2020年度)は,このような問題関心から,寄進地記録を中心とするサフィー
廟の財産管理史料を総合的な研究を目指している。初年度は,サファヴィー朝初期16世紀編纂の寄
進地記録として有名な‘Abdi Beg編sarih al-milkを取り上げ,これまでにも多くの研究に利用さ
れてきたこの作品のデータベース化に取り組んだ。本研究会では,‘Abdi Beg編sarih al-milkの
全体像,編纂の時代的背景,歴史研究におけるその史料的価値,そして改訂により長期的に持続
したその役割をテーマに,サフィー廟寄進地記録の研究可能性に新たな光を当て,今後の研究可
能性を探ることを目指す。

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