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2018年12月 4日 (火)

第11回オスマン文書セミナーのご案内

第11回オスマン文書セミナーのご案内

 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)では、基幹研究「中東・イスラーム圏における分極化とその政治・社会・文化的背景」(代表:黒木英充)の事業の一環として、2019年1月12日(土)と13日(日)に第11回オスマン文書セミナーを開催します。研究上、オスマン朝下で作成されたさまざまな手書きの文書や帳簿を読む必要のある方を中心に、広くイスラーム史を研究される方のご参加をお待ちしております。ただしオスマン・トルコ語の授業を行う場では決してありませんのでご注意ください。また、本セミナーは科研費基盤B「イスラーム圏における簿記史料の通時的・共時的研究」(代表:高松洋一)の研究会との共催となります。

 第11回目の今年度は、役所間の通信の役割を担った「書付(tezkire)」と呼ばれる様式を中心に、オスマン朝の財政に関連して、アラビア文字のスィヤーカト(siyakat)書体が用いられた文書をとりあげて講読します。スィヤーカト書体は、オスマン朝では財務関係の文書や帳簿でのみ使用された点を打たない独特な書体で、一見すると速記文字や暗号のようで判読不可能に見えますが、表現や単語がかなり限定されていることもあり、見かけほどには難しくありません。
昨年度はやはり財政に関する帳簿をとりあげましたが、帳簿と異なり、文書の場合はスィヤーカト書体のみで作成されることは非常に稀です。前近代のオスマン朝の文書では複数の文書類型が一枚の料紙に共存しているおかげで、内容に関連してスィヤーカト書体以外の書体で記されたテキストが同一の料紙に必ず存在します。それらを参照しつつ解読することで、スィヤーカト書体部分の理解がいっそう易しくなりますから、過剰に怖れるには及びません。
スィヤーカト書体で書かれたテキストは、ほとんどペルシア語と言ってもよいほど、トルコ語の要素が少ないものですが、参照可能なトルコ語テキストの情報があれば、比較的容易に解釈することが可能です。ただペルシア語の簿記術では、スィヤーク(siy?q、トルコ語divan rakamlar?)と呼ばれる独特の数字が有名ですが、時代が下るとオスマン朝の財政文書ではほとんど使われなくなり、数字はいわゆる元祖「アラビア数字」で書かれます。今回の講読でもスィヤークをとりあげることはしませんが、オスマン朝財政文書では数字でなく文字表記が独自の発達を遂げた点で、比較の上でも興味深いのではないかと思われます。
講読では、18世紀以降の判読の易しい実例からだんだん慣れていけるように教材を工夫したいと考えています。第1日目は、最初にスィヤーカト書体が現れるオスマン朝の財務関係文書についての解説とスィヤーカト書体について講師が一般的な解説をおこない、つづいて実例を講読します。第2日目も前日に引き続いて、18世紀の文書の実例を講読していきます。

 なおセミナーへの参加資格として、例年通り次の1.または2.のいずれかにあてはまることを条件といたします。
1.「現代トルコ語の読解力があり、かつアラビア文字に関する知識を有する」
2.「ペルシア語あるいはアラビア語の読解力があり、かつ現代トルコ語文法の知識を有する」

 参加を希望される方は、お名前、ご所属、連絡先住所・電話番号、メールアドレス、専門分野、セミナー参加可能日程を明記の上(部分参加も可)、下記の申込先まで12月14日(金)までにEメールにてご連絡ください。こちらから、セミナーで用いる資料を郵送いたします。なお参加費は無料です。
 また、東京近郊以外に在住の方には旅費の支出も検討しておりますが、予算の都合上、旅費支給を希望される方は、なるべく早くその旨お知らせください。

問合わせ・申込先:
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
フィールドサイエンス研究企画センター事務局
e-mail: fsc_office@aa.tufs.ac.jp (@は半角)

プログラム等の詳細は以下の通りです。

基幹研究「中東・イスラーム圏における分極化とその政治・社会・文化的背景」
第11回オスマン文書セミナー
◇主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
◇共催:科研費基盤B「イスラーム圏における簿記史料の通時的・共時的研究」(代表:高松洋一)
◇期間:2019年1月12日(土)~13日(日)
◇会場:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
3階大会議室 (303号室)  1月12日(土)、13日(日)とも
   (〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1)
http://www.tufs.ac.jp/access/
http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/about/access
◇講師  高松洋一(AA研)

◇プログラム
 1月12日(土)
14:00-14:15 趣旨説明 講師・自己紹介
14:20-16:00 財政関係の文書とスィヤーカト書体の概説
16:20-18:00 文書の講読1

 1月13日(日)
13:00-14:40 文書の講読2
15:00-16:40 文書の講読3
17:00-18:00 総合討論

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